介護職員のリアル

介護

介護職員の多くは、献身的で性善説に基づいて働いているかのように捉えられがちですが、実際の現場には知られていない実情が存在します。私たちは不満やストレスを抱えつつも、利用者様への最高のケアを提供する使命感で日々仕事に臨んでいます。そして、この仕事においては、しばしば人間関係の複雑さや労働条件の厳しさに直面しています。この記事では、介護の実情について焦点を当てて、現場での真実をお伝えします。

献身性と実情のギャップ

献身性とは何か?

献身性とは、他人のために自己を捧げ、無償で尽くすことです。介護の分野において、この献身性は、利用者の幸福と信頼構築、困難への対応、業界の向上に欠かせない重要な要素です。介護職員や献身的な学生は、利用者や患者の幸福を最優先に考え、温かいケアとサポートを提供する役割を果たします。時には困難な状況に立ち向かい、人々の生活の質を向上させるために尽力しています。献身性は、介護分野での働き手にとって非常に価値のある特性であり、社会に尊敬されるべきことなのです。

現実の介護職の日常とは?

介護職の日常にはやりがいと共に、身体的・感情的な負担や労働条件の課題などあります。個々の経験によって異なるものの、メリットとデメリットの両方が存在します。これらの要素は介護職の特徴の一部で以下のようになります。

~メリット~

1. やりがいと感謝…利用者様から感謝されると一瞬でやりがいを感じます。生活を支えているというポジティブな影響を実感でき、非常にやりがいを感じさせてくれます。

2. 仲間との連帯感…介護職員同士が支え合い、連帯感を持つことができます。困難な状況を一緒に乗り越えると仲間意識が強くなります。

3. 専門知識の獲得…介護職は専門的な知識とスキルが求められるため、自己成長に繋がりますし、特に一部の医療行為を行う職場の場合や夜勤を行う場合は、よりスキルが身に付きますし、「老い」の実態をリアルに知ることができます。

~デメリット~

1. 身体的・感情的負担…利用者様の身体的・感情的なケアは、時には大きな負担が伴います。身体的な介助は体力を要しますし、精神的な対応を求められるなど感情的なストレスも高まることがあります。「老い」の実態については、別の機会で記事にしますが、巷やメディアなどで見る老人と、重介護の老人は雲泥の差があります。

2. 時間的制約と長時間労働…介護のスケジュールに合わせる必要があるため、時間的な制約があります。夜勤など長時間労働が多い場合もあります。24時間365日のスケジューリングなため、土日祝や夜間など関係なく、自身の曜日感覚が鈍ります。デイサービスは概ね土日祝休みで日中だけの業務なので、感覚が鈍くなることは少ないかも知れません。

3. ストレスと感情的な負担…利用者様の状況や人間関係の複雑さにより、ストレスや感情的な負担が発生することがあります。利用者様の尊厳が大切というのは当たり前のことですが、職員の尊厳は?と疑問になることも多々あります。業務がキツイ、給料が低い、看護から見下されるなどなど、介護士だって人間だもの。ストレスが蓄積されると人間どうなるか?攻撃的になったり、はけ口を他者に向けるため人間関係が悪くなります。まさに介護業界は負のループに陥っています。

4. 給与と労働条件…介護職の給与が低いことや、労働条件が厳しいことが多いため、経済的な不安も生じます。 人によっては給料が低くて子供が産めない、結婚できないという意見もあります。

ストレスとの闘い

現場のストレス要因とは

1. 身体的な負担…利用者様の身体的ケア(移動支援、入浴、トイレ介助、おむつ交換など)は身体的に負担がかかります。介助者は腰が砕ける思いでケアを行っています。たまに利用者様が「若いから大丈夫でしょ?」「力持ちだねー」と言いますが、辛いんですよ、実際は。介護士はプロ根性で頑張って笑って対応しています。ボディメカニクスを駆使しないと身体もちません。

2. 感情的な負担…利用者様の病状や認知症などによる振る舞いに対処することは感情的なストレスを引き起こすことがあります。利用者様の暴言・暴力もありますし、セクハラもあります。それでも介護士は我慢しなければならない。この場合は記録に残すことが不可欠です。また、時には利用者や家族からのクレームもあり、感情的なプレッシャーとなります。

3. 時間的な制約…介護のスケジュールは厳密で、複数の利用者様に対応する必要もあります。時間的な制約によるプレッシャーもストレス要因となります。

4. 給与と労働条件…介護職の給与が低いことや、労働条件が厳しいのが現状です。 「頑張っても、これだけしか貰えないの⁈」と思うのが大半だと思います。施設によっては、月給低いのに輪をかけてボーナスも低く一桁、処遇改善をボーナスと称し分配するも中身は一か月分もないなど、まるで奴隷ですね(-_-;)

5. クレームと困難な家族関係…利用者様や家族からのクレームや要求への対処がストレスを引き起こします。家族とのコミュニケーションが難しい場合もあります。無茶ぶりを言われても従わなくてはならないのが現状です。

6. 感情のコントロール…介護職員は感情をコントロールし、利用者様に安心感を提供しなければ、利用者様が精神的な負担を引き起こすことがあります。どんな無茶苦茶な言動をされても堪えないといけません。職員の尊厳はないのか⁈と疑問になりますね。また、利用者様が亡くなった場合、喪失感や悲しみがストレスとなります。

7. 職場の人間関係…これは介護業界に限らずですが、職場の人間関係が円滑でないと仕事が仕事になりません。最近は怒りの沸点の低さが目立っています。もともと怒りの感情はありません。悲しみ、寂しさ、不安などの感情が怒りに繋がります。自身が怒りに満ちているときは、まず深呼吸し、なぜ起こっているのか自問自答してみてください。悲しいから?寂しいから?不安だから?思い通りではないから?きっと怒りの原因が探れますし、怒りをぶつける前に誰かに相談するのがベターです。

8. 責任とプレッシャー…介護職員は利用者様の生活や安全に関わる責任を負っています。これに伴うプレッシャーがストレス要因となります。命を預かっていますからね。

ストレス管理のアドバイス

1. 深呼吸とリラックス… ストレスを感じたら、ゆっくり深呼吸をして、リラックスしましょう。その場を離れる時間を持つことも大切です。深呼吸とリラクゼーションは、科学的にストレスを軽減するのに効果的です。体のストレス反応が減少し、リラックス感が増します。個人差はあるかもしれませんが試してみる価値があります。

2. しっかり寝る…眠ることはストレス対策必須です。睡眠中、脳は情報を整理し、不要な情報を削除するプロセスを行います。これにより、翌朝にはクリアな思考と集中力を取り戻します。夜はしっかり寝て、体力を回復させましょう。

3. 友達や家族と話…感情を抱え込まず、友達や家族と感じたことを話すと、気持ちが楽になります。共感してくれる人がいると、ほっとしますよね(^^)

4. 運動と健康な食事…適度な運動とバランスの取れた食事が大切です。利用者様を抱えたり介助していると、日々のナチュラルトレーニングになりますが(^^;)

5. ストレスの原因を知る…自分にとってストレスの原因は何かを知ることが大切です。それから対策を考えることができます。「職場がストレスです」 という人は転職もありですが。

6. 楽しいことをする…お出かけや趣味など楽しむ時間を持つことで、ストレスから解放されます。 私はインドア派なので自宅で映画をみたり、時々、自然に触れるために景色が良いところへ行っています。

7. 時間の管理…予定を立てて、時間を上手に使うと、ストレスを減らすことができます。年間、月、週、一日をどう過ごすか、どのような予定があるかなど自己を把握するのも大切です。

8. 休暇を楽しむ…休みの日を活用して、リフレッシュする時間を楽しみます。「楽しい」と思うことは潜在意識にもいい影響を与えてくれます。

9. カウンセリングを受ける…もし自分では対処できないほどのストレスがあれば、専門家に相談するのもありです。小さな悩みが大きな事件に繋がることもありえますので、我慢せず、ご自分を大切にして下さい。

不満と共感

介護士の不満


介護職は、やりがいや感謝などがある一方ですが不満としては以下があります。

  1. 給料が低いことが多いため不満がある。
  2. 利用者様の状態や感情的なストレスが自身に直撃する。
  3. 職員不足があり、仕事の負担が増える。
  4. クレーム対応: 利用者や家族からのクレームを取り扱うことがストレスとなることがある。
  5. 高度な専門知識とトレーニングを必要とされるが、不足が解消されないことがある。

仲間との支え合い

1. 情報共有…経験や知識を共有し、お互いのケアに役立つ情報を提供したり、難しい状況やケアに関するアドバイスを提供することにより意識向上やコミュニケーション活性化になります。

2. 感情の共有…仲間と感情を共有することは、ストレスの軽減になります。同じ経験を共有することで、お互いの理解が深まります。

3. 助け合い…忙しい時や難しいケアが必要な場合、仲間が助けに入ることがあります。互いに助け合うことで、仕事の負担を分担したり、仲間への思いやりが生まれます。

4. 職場文化の構築…良い職場を築くために、仲間が協力し、尊重し合うことが大切です。モチベーションと効率を向上させます。

5. チームワーク…介護はチームでの作業が不可欠です。情報の共有が円滑に行われると、ミスや誤解が減少し安心安全なケアを行うことができます。

6. ストレスの共有…仲間に相談することは、ストレス軽減になります。辛いものは辛いって吐き出していいんです。

7.励ましとフィードバック…仲間がお互いを励まし、正しいフィードバックをすることで、モチベーションが上がります。 一緒に働く仲間との協力は、厳しい状況でもケアの質を向上させてくれます。

まとめ

介護職員の日常は、時には非常に辛く、職員たちはストレスや不満を抱えながらも、利用者様へのケアを行い仕事を行っています。給与の低さ、長時間労働、精神的な負担、クレームへの対応などから、精神的・肉体的に耐えられず転職を考えることも珍しくありません。しかし、職員は、この厳しい現実を受け入れるしかなく、高齢でも、持病があっても、腰痛でも、薬を飲みながら業務を行っている職員もおります。何十年も賃金や報酬問題は改善されておらず、介護福祉士に還元されるべき処遇改善金なども貰えていない職員もおります。「ニュースなどでは介護職の給料が上がる」などありますが、実際は上がっても微々たるもので、まるで「上がる上がる詐欺」みたいなものです。このような状況でも介護職員たちは不満やストレスを抱えつつも、利用者様へのケアに真摯に向き合っております。

以上、ざっと介護職員のリアルをお伝えしました。今度は、介護現場におけるリアルを違う視点にフォーカスしていきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございます。合掌

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